「CREATIVE CAMP」は、他の広告講座と大きく異なる特徴をもっています。それは、「コピーライターを目指す人のための既存プログラム」に対する問題意識から生まれました。もちろん他社の講座を否定するつもりもなく、当方自身もこれらの卒業生であり、また多くの講義を担ってきた経験もあるので、それ自体には一定の価値があると考えています。
しかし「未経験者かつ異職種」の方に対して既存のプログラムを提供するだけで活躍を期待するのは、あまりに非現実的ではないかと感じている部分があります。なぜそのようなことが起きるのか。それは、いくつかの理由があります。この問題を、下記の3つに区分して整理してみました。
①コピーライターに対する「誤解」と「真実」
そもそもコピーライターという職業に対する誤解が大きい。これが多くの問題を生んでいると捉えています。「良きコピーライター」は「良き相談者」と言われるように、コピーライターは「書く」ことだけではなく、「聞く」「整理する」「提案する」といった行為も、守備範囲になります。またコピーは商業文章であるため、文学とは異なります。経済活動を活性化するための文章になるので、アート活動ではありません。
もちろん企業のブランドイメージを高めるために、感性に訴えるイメージ醸成を考えることもありますが、これらのすべては商業活動の成功に導くために行うものです。このように、「コピーライターになりたい人」の多くが、誤解と幻想を抱えている。こうした状況が、採用側としてミスマッチをおそれる状況を生んでしまい、結果として「未経験を受け入れづらい職種」になっているといえます。
②クリエイティブに関する各種広告講座の「問題」と「解決策」
そのような状況下、各種講座のカリキュラムはどのようになっているのか。多くは、
・有名なクリエイターが講師(教えるのがうまいかどうかではなく作り手としての評価)
・自身の制作プロセスなどを説明しながら講演(大部分はプロジェクト後記)
・課題に対する評価・添削(評価基準もまちまちで、善し悪しの軸を受講者がもてない)
・これらを、様々な人が講義するため、一貫性や深い教育が難しい
という状況になっている面があります。
もちろんこうしたカリキュラムの良い部分もあって、様々な講師に出会えるからこそ、多様な考えを習得できますし、なによりも講義で会って話をするだけで、たくさんの刺激を受けることもできます。
でもそれだけで上達することは、ほぼないです。それはインプットよりもアウトプットや実践による気づきを得る機会の割合が多くない限り、成長することはできないからです(野球を上達したい人が、練習よりもプロ野球選手の話を聞く時間の割合が多い状態で、活躍できるでしょうか)。
③コピーライターの「現状」と「理想」
そして最後は、コピーライターや広告制作業を取り巻く現状についてです。これまで名を馳せたクリエイターの多くは、大手代理店に所属して大手企業の広告を担当している人たちです。そのような方々は、もともと能力も高いことから、より飛躍する機会をつかみやすいといえます(そうはいっても、大手代理店のクリエイティブ職の競争やプレッシャーの大変さは、相当なものであることは知人たちからよく聞いていますので、そんなに安易な話ではないことは、お断りしています)。
このような環境にいない人は、コピーライターになる機会にたどり着けないのか。これらを変えるために必要なこと、そして未来の日本のために大事なことは、「いまクリエイティブを求めている顧客はどこにいるのか」「クリエイティブによって向上改善できる市場はどこにあるのか」。
それは、中小中堅企業・ベンチャー企業にあるのではないでしょうか。大手企業はマーケティング専門部署も存在し、代理店を頼るだけでなく、内製化も進むなど、自社内で多くの知見と工夫を日々やり続けています。でも中小企業やベンチャー企業は、日々の事業活動に精一杯で、まだブランディングやビジョン策定などに着手できていない会社が多くあります。もちろん社内には専門部署もなく、さらに予算も限られていることが多い。でも中小企業における投資とは、額を問わず、非常に緊張感がある取り組みだと想像できると思います。こうした中小企業のプロモーションにこそ、コピーライターの力を活かすことができるのではないでしょうか。
こうした3つの問題意識を、どうすれば解決できるか。そして社会の経済活動に対して、改めてコピーライターができることとはなにか。そのような思いから、この「CREATIVE CAMP」を開設することにしました。